Number Resource Society
世界のRIRコミュニティへ――会員を代表するのは誰か
AFRINICをめぐるNROの介入に対し、NRSが司法の独立、国家主権、国際的地位、会員主体の運営という四つの観点から異議を示した公開書簡。
このページの内容
NRSの歴史資料|サイト掲載日:2025年4月16日。原文更新日:2026年7月15日。2022年7月12日のNRO書簡に応じたものです。以下の批判と法的主張は、その当時のNRSの立場を表しています。
書簡を時系列で読む
2022年7月12日、NROがモーリシャス政府に書簡を送付。AFRINICの状況について見解を示し、国際機関としての承認を求めました。原本は全3ページです。
2022年7月13日、NRSがモーリシャス政府に書簡を送付。NROの介入に異議を唱え、会員が独立した裁判所に訴える権利を擁護しました。
世界のRIRコミュニティ宛てのNRS公開書簡は、四つの問題を挙げ、書簡の撤回と謝罪を求めるよう呼びかけています。NRSの両書簡がこのサイトに初めて掲載されたのは2025年4月16日です。コミュニティ宛ての書簡には、本文独自の日付はありません。

NROは2022年7月12日にモーリシャス政府へ書簡を送りました。元の公開書簡に掲載された図を引き継いでいます。
RIRコミュニティにこの書簡を送る理由
世界のRIRコミュニティの皆さまへ
NROが2022年7月12日、モーリシャス政府に書簡を送ったことを確認しました。署名者はPaul Wilson、John Curran、Oscar Robles、Hans Petter Hollenで、宛先はモーリシャス共和国の外務・地域統合・国際貿易大臣および司法長官です。
NRSは会員の共通の利益を守るために活動する団体です。RIR制度の透明性と説明責任を高め、インターネットの出発点である、コミュニティから意思を積み上げる原則を強化することを目指しています。
この書簡の内容と意図に深刻な懸念があるため、世界のRIRコミュニティに訴えます。書簡には重大で根拠のない非難があり、主権国家の政治、外交、司法という国内の問題に介入しようとして、一線を越えています。
NRSはRIRがインターネットにとって重要であると認めています。同時に、RIRが民間企業であるという事実を忘れてはなりません。各国の法令と法の支配に従う義務があります。
NROがモーリシャス政府に圧力をかけ、司法の独立に影響を与えようとしたことを、私たちは深く懸念しています。AFRINICを国外に移すと脅して政治的圧力を加える行為は、国内政治への恥ずべき介入であり、拒否されるべきです。
特に、NROの書簡にある次の記述は看過できません。
「AFRINICはモーリシャスに対し、国際機関として承認するよう繰り返し求めてきたと理解しています。私たちは、この地位の取得は適切であり、認められれば、インターネットのエコシステムで果たす重要な役割を踏まえた、より適切な結果につながり得ると考えます。同時に、AFRINICは引き続き説明責任を負い、モーリシャス法に従うことになります。この地位の付与は法の支配に適合し、裁判所がAFRINICを合理的に監督する余地も残します。できるだけ速やかにこの問題に対処すること、あるいはAFRINICの独立性とアフリカのインターネットの安定を維持・保護するための措置を取ることを、私たちは共同で要請します。こうした対応をご検討いただければ幸いです。」
私たちはモーリシャス政府に、具体的に次の四点を指摘しました。
1.係争中の事件と司法の独立への介入
NRO自身の書簡でも、AFRINICの会員が複数の訴訟を起こしていると述べています。それにもかかわらず、その声明は傲慢さと無理解を示しています。モーリシャスの裁判官がこれまで下した判断はすべて誤りで、裁判所命令がアフリカのインターネットの発展を損なう、と言わんばかりです。私たちは、NROの要求は同国の会社法と司法制度に直接干渉し、係争中の事件に影響を与えて司法をゆがめ、法廷侮辱に当たり得ると考えます。
さらに私たちは、裁判に関わる情報は秘密として扱われるべきだと主張しています。NROが法律文書を読んだと次のように述べていることは、極めて憂慮すべきです。
「法的記録は今や、訴訟当事者の違法行為を指摘する専門家の宣誓供述書であふれている。」このような司法への介入は容認できません。
2.モーリシャスの主権を損なう要求
モーリシャスは民主主義と法の支配を基礎とする国です。政府に司法手続きへの介入を求めることは、法の支配だけでなく、独立国家としての主権と民主主義を損ないます。
NROは国家でも政府でもありません。本書簡で指摘するとおり、登録された法人ですらありません。それにもかかわらず国家のような権限があるかのように振る舞う要求は、著しく不当であり、RIRコミュニティ全体にとって恥ずべきものです。
国際法の観点からも、この要求は不合理だと私たちは考えます。ウィーン条約は、民間企業やその役員に外交上の免除を与えるためのものではありません。
3.特別な地位でAFRINICを法の上に置く試み
AFRINICはモーリシャスで登記された民間企業であり、同国の法令と法の支配に従うべきです。AFRINICをめぐる問題はモーリシャスの司法が判断すべきで、外部がその手続きを妨げてはなりません。
「国際機関」として外交上の地位を与え、AFRINICを法の及ばない場所に置こうとするNROの試みに、私たちは正当性を認めません。国内に数多くある民間企業のうち、なぜAFRINICだけに特別な地位が必要なのでしょうか。
本書簡は、当時五つのRIRのいずれも自国でそのような地位を持っていなかったと指摘しています。それは当然です。RIRは法を守る民間企業です。私たちが深刻な腐敗を指摘するAFRINICに対して、一国を挙げて外交上の免除を認めるようNROが要求していることに驚きを禁じ得ません。世界のコミュニティはこの問題を真剣に受け止める必要があります。
4.会員から積み上げるRIRの原則を壊す行為
AFRINICを訴えているのは、ほかならぬ会員自身です。したがってNROの行為は、次の二つの問題を生みます。
a)資源会員の要求を無視し、私たちが腐敗を告発しているAFRINICの指導者を守ること。
b)AFRINICを正常に機能する組織へと立て直す会員の権利を奪うこと。
これはRIR制度の基礎である、会員から意思を積み上げる原則を大きく損ないます。しかもNROは、会員やコミュニティの意見を聞かず、国家機関のような立場で書簡を発出しました。
つまり、この書簡は会員の利益をまったく代表していません。意見を聞かずに公表を決めることは、上から押しつける意思決定の典型です。NROはRIRの核心的な原則を強めるどころか、それに背いています。
RIRそのものの土台を壊しているのです。
私たちには、この書簡は信頼を失ったCEOを何としても守ろうとする試みにしか見えません。そのために、この分野の先人や以前の指導者が守り続けた原則を投げ捨てています。
世界のコミュニティへの呼びかけ
モーリシャス政府に圧力をかけようとするNROの行動は、根本的に間違っています。
当時職務停止中だったAFRINICのCEO、Eddy Kayihuraは、他のRIRに対して、AFRINICを受け入れているモーリシャスへの感謝を促すべきでした。同国を攻撃し、脅し、その独立に干渉すべきではありません。
世界のコミュニティに、事態の重大さを考えるよう呼びかけます。NRSの会員とともに、Paul Wilson、John Curran、Oscar Robles、Hans Petter Hollen、そしてNROに、書簡を撤回し、モーリシャスの政府と国民に謝罪するよう求めてください。自国では決してしないことを、なぜモーリシャスの法と民主主義に対して行う権利があると思うのでしょうか。
コミュニティ、モーリシャスの司法、政府が、インターネットの未来に向けて正しく必要な対応を取ると信じています。
世界のインターネットコミュニティの利益を守るため、NRSはモーリシャス政府にも書簡を送りました。本ページの書簡一覧から読むことができます。
敬具
NRSチーム
原文と争点を確認する
本ページはNRSの過去の公開書簡を収録しています。疑惑の指摘、法的解釈、役職や会員の規模に関する記述は、当時の筆者によるものです。現在の状況について新たな事実認定を示すものではありません。調査、撤回、謝罪の要求は書簡の一部であり、「間もなく行われるAFRINIC選挙」という記述も現在の選挙案内ではありません。
NROは国際機関としての地位を求める一方、AFRINICが引き続き説明責任を負い、モーリシャス法に従うべきだと明記しています。これに対しNRSは、訴訟が進行していた状況での要求は司法への圧力であり、AFRINICを責任追及から守る試みだと主張しました。上記のNRO原文で両者の相違を直接確認できます。国際機関としての地位を求めたことだけで、外交特権や免除が認められたとはいえません。
裁判資料の守秘義務、係争中の事件への言及、法廷侮辱、ウィーン条約、腐敗、AFRINICの移転権限に関する記述は、書簡中の法的主張または疑惑の指摘です。本版はそれらを司法判断として扱いません。NRO原本の署名はHans Petter Hollenですが、NRSの英語原文ではHansa Petter Hollenとなっています。他言語版では署名で確認した表記を用いています。
英語版では綴りや段落を含め、原文を全文保存しています。見出し、書簡の時系列、本解説は2026年10月25日に追加しました。他言語版は各言語で自然に読める文章で論点をすべて収録しています。制度上の背景はNROの役割を解説する記事で確認できます。
いま、どう参加できるか
番号資源を管理する機関に、誰が責任を問えるのか。この問いは今も重要です。改革に参加するには現在のアクションを、ネットワークや事業に関わる資源リスクの相談にはNRS Shieldをご覧ください。POAと代理・代表権では、範囲を定めた委任によってNRSがどのように意思を届けるかを説明しています。委任は十分な説明を受けたうえで個別に、自発的に判断するもので、撤回が可能でなければなりません。範囲、期間、撤回手続きを確認してください。書簡を読むこと、支援を求めること、入会することでは委任は成立しません。POA自体が投票資格を生むことも、政策参加・選挙・代理投票の規則に優先することもありません。
