Number Resource Society
モーリシャス政府への書簡――司法の独立と会員の権利を守るために
2022年7月13日、NRSはAFRINICの訴訟をめぐるNROの介入に異議を唱え、会員の司法へのアクセスを擁護し、調査と書簡の撤回、謝罪を求めました。
このページの内容
NRSの歴史資料|書簡の日付:2022年7月13日。サイト掲載日:2025年4月16日。原文更新日:2025年11月4日。役職、会員の規模、疑惑の指摘、選挙への言及は、いずれも当時の記述です。
書簡を時系列で読む
2022年7月12日、NROがモーリシャス政府に書簡を送付。AFRINICの状況について見解を示し、国際機関としての承認を求めました。原本は全3ページです。
2022年7月13日、NRSがモーリシャス政府に書簡を送付。NROの介入に異議を唱え、会員が独立した裁判所に訴える権利を擁護しました。
世界のRIRコミュニティ宛てのNRS公開書簡は、四つの問題を挙げ、書簡の撤回と謝罪を求めるよう呼びかけています。NRSの両書簡がこのサイトに初めて掲載されたのは2025年4月16日です。コミュニティ宛ての書簡には、本文独自の日付はありません。

モーリシャス政府宛て書簡の元のページに掲載されたイラスト。
2022年7月13日付の書簡
2022年7月13日
Alan Ganoo外務・地域統合・国際貿易大臣閣下
Newton Tower, Sir William Newton Street
Port Louis, Republic of Mauritius
Maneesh Gobin司法長官閣下
Attorney General’s Office, Renganaden Seeneevassen Building
Port Louis, Republic of Mauritius
Ganoo大臣、Gobin司法長官
Number Resources Society(NRS)を代表してお便りします。NRSは、集団的な取り組みによって地域インターネットレジストリの透明性と説明責任を高める国際的な非営利団体です。本書簡の時点では、モーリシャスを含む五大陸の数十か国に数百の会員を擁し、少なくとも10億人にサービスを提供するインターネット事業者と、その共通の利益を代表すると述べています。
貴職は、2022年7月12日付のNROの書簡を受け取られました。私たちは、これが進行中の訴訟への介入を求め、ひいてはモーリシャス共和国の法の支配と民主主義の原則を侵すものだと考えます。
署名したPaul Wilson、John Curran、Oscar Robles、Hans Petter Hollenは、民間企業のCEOです。彼らは、自国では決して要求しないであろう司法への介入を、貴職と政府に求めています。この傲慢さと、自分たちにその権利があるという思い込みは衝撃的であり、世界のインターネットガバナンスにある、より大きな問題を示しています。
AFRINIC、APNIC、ARIN、LACNIC、RIPE NCCは、いずれも会員とコミュニティを基盤に運営される組織です。これらの民間企業のCEOに他国の内政へ介入する権限はありません。彼らが語れるのは自分自身の意見であり、所属組織の会員を代表する意見ではありません。
RIRによるモーリシャスの法治への介入
NROが貴職に圧力をかけ、モーリシャスの司法の独立を左右しようとしていることを深く懸念します。AFRINICの国外移転をちらつかせる行為は、国内政治への恥ずべき干渉であり、拒否されるべきです。
私たちは、この介入が係争中の事件に関するモーリシャス法に反し、法廷侮辱にも当たり得ると懸念しています。適切な捜査・訴追機関に証拠を引き渡すよう求めます。
アフリカのレジストリの所在地にモーリシャスが選ばれたのは、法の支配に基づく民主国家だからです。会員が裁判で争いを解決しようとすることにCEOたちは反発し、別の法域へ移すと脅しています。民主主義、市民社会、法治に対する基準の低い場所を望んでいるのでしょうか。
この書簡はモーリシャスの主権を直接攻撃し、民主主義の原則を損なおうとしています。民主国家の政府がどう行動するかについて発言するのは、その国の国民であるべきです。四つの小さな民間企業のCEOではありません。
書簡の筆者たちは、自分自身を代表しているだけで、代表すると称する会員の声を届けてはいません。上から押しつける傲慢な姿勢で司法に影響を及ぼす行為には、抵抗すべきです。調査によっては、介入が犯罪に当たり、訴追すべきだと判断される可能性もあります。
根拠のない外交上の地位の要求
彼らは、AFRINICという民間企業に外交上の地位を求めているように見えます。自ら率いる組織にはない地位を、アフリカのレジストリについては要求してよいと考えるのは不合理です。
モーリシャス登記の民間企業に外交上の地位、あるいは国際機関の地位を与えるのは不合理だと私たちは考えます。腐敗や違法行為の調査対象となっている人物に免除を与えるのが目的ではないかと疑っています。こうした問題を解決するのは裁判所です。
モーリシャス政府に、この要求に従う義務はありません。会員は、これらの組織が外交上の地位や、ウィーン条約で国際機関・主権国家に認められる特権を得るべきだとは考えていません。
NROの書簡にある虚偽の記述
Paul Wilson、John Curran、Oscar Robles、Hans Petter Hollenの書簡には、事実に反する記述が複数あります。貴職とモーリシャスの人々を誤解させるためのものだと私たちは考えます。
本書簡は、当時職務停止中だった指導部・経営陣の下で、世界の少なくとも七つの異なる主体がAFRINICを訴えていたと述べています。NROの書簡は、選挙を止めた会員が、その書簡で名指ししている特定の会員と同一だとしています。しかし、それは事実ではありません。
会員は腐敗した指導者を排除したいと願い、AFRINIC内部で指摘された腐敗と権力乱用に立ち向かっています。複数の会員がモーリシャスの裁判所に判断を求めました。NROの介入は、独立した裁判所と公正な裁判官に訴え、不正を正すというコミュニティの権利を損なおうとするものです。
NRSはモーリシャスの公正さを支持する
NROと書簡の筆者たちがモーリシャス政府を難しい立場に追い込んだことは、承知しています。国内政治と外交関係の双方に介入する試みを、独立した公正な会員は見過ごしません。
モーリシャスはアフリカ、インド洋地域、インド、中国、欧州と良好な外交関係を築いています。世界のインターネット普及に貢献できる独自の立場にあり、会員はその取り組みを引き続き支持します。
AFRINICのコミュニティはモーリシャスの司法の公正さと法の支配を守ります。RIR制度内の腐敗について、独立した機関が調査し、必要な訴追を行うと信じています。
NROの介入は、個々の会員の名の下に行われているのではありません。その行為は、私たちの価値観と理念に真っ向から反しています。
私たちの立場では、会員の承認なしにNROがAFRINICを国外に移転させることはできません。この点をモーリシャスの政府と国民にお伝えします。会員は移転を認めないと確信しており、したがってその脅しは空虚です。大臣、法務関係者、政府、司法に不当な影響を与えようとする企ては成功しません。
この書簡を書いた当時、AFRINICでは新たな選挙が近づいていました。会員の最優先課題は腐敗を取り除き、すべてのインターネット利用者に役立つレジストリを再建することでした。
NRSの会員は、AFRINICを受け入れているモーリシャス政府と国民への感謝を、ここに正式に表明します。私たちは貴国の法治と民主主義の原則を信頼しています。
当時職務停止中のAFRINIC CEO、Eddy Kayihuraは、モーリシャスを攻撃するのではなく、受け入れ国に感謝するよう他のRIRに働きかけるべきでした。脅しや介入によって独立を損なうべきではありません。
原書簡はさらに、モーリシャス法では裁判関連情報を秘密として扱うべきだと主張しています。その観点から、NROが次のように法律文書を読んだと述べたことを、極めて重大に受け止めています。
「法的記録は今や、訴訟当事者の違法行為を指摘する専門家の宣誓供述書であふれている。」このような司法への介入は容認できず、私たちは法廷侮辱に当たり得る別の例だと考えます。閣僚の皆さまには、新たな証拠を適切な捜査・訴追機関に渡すよう求めます。
モーリシャスの裁判所でAFRINICやその代表者を訴えている組織は、NROの書簡を、原告・被告双方が保障されるべき適正な手続きへの干渉と受け止める可能性があります。この問題を裁判所に知らせるため、追加の法的措置が必要になるかもしれません。
NRSの会員は、書簡の撤回とモーリシャスの政府・国民への謝罪を要求します。Paul Wilson、John Curran、Oscar Robles、Hans Petter HollenとNROは、法の支配と民主主義に介入しようとする書簡を恥じるべきです。自国では決してしないことを、なぜモーリシャスには行ってよいと考えるのでしょうか。
敬具
NRSチーム
原文と争点を確認する
本ページはNRSの過去の公開書簡を収録しています。疑惑の指摘、法的解釈、役職や会員の規模に関する記述は、当時の筆者によるものです。現在の状況について新たな事実認定を示すものではありません。調査、撤回、謝罪の要求は書簡の一部であり、「間もなく行われるAFRINIC選挙」という記述も現在の選挙案内ではありません。
NROは国際機関としての地位を求める一方、AFRINICが引き続き説明責任を負い、モーリシャス法に従うべきだと明記しています。これに対しNRSは、訴訟が進行していた状況での要求は司法への圧力であり、AFRINICを責任追及から守る試みだと主張しました。上記のNRO原文で両者の相違を直接確認できます。国際機関としての地位を求めたことだけで、外交特権や免除が認められたとはいえません。
裁判資料の守秘義務、係争中の事件への言及、法廷侮辱、ウィーン条約、腐敗、AFRINICの移転権限に関する記述は、書簡中の法的主張または疑惑の指摘です。本版はそれらを司法判断として扱いません。NRO原本の署名はHans Petter Hollenですが、NRSの英語原文ではHansa Petter Hollenとなっています。他言語版では署名で確認した表記を用いています。
英語版では綴りや段落を含め、原文を全文保存しています。見出し、書簡の時系列、本解説は2026年10月25日に追加しました。他言語版は各言語で自然に読める文章で論点をすべて収録しています。制度上の背景はNROの役割を解説する記事で確認できます。
いま、どう参加できるか
番号資源を管理する機関に、誰が責任を問えるのか。この問いは今も重要です。改革に参加するには現在のアクションを、ネットワークや事業に関わる資源リスクの相談にはNRS Shieldをご覧ください。POAと代理・代表権では、範囲を定めた委任によってNRSがどのように意思を届けるかを説明しています。委任は十分な説明を受けたうえで個別に、自発的に判断するもので、撤回が可能でなければなりません。範囲、期間、撤回手続きを確認してください。書簡を読むこと、支援を求めること、入会することでは委任は成立しません。POA自体が投票資格を生むことも、政策参加・選挙・代理投票の規則に優先することもありません。
