Number Resource Society

ASOはインターネットの番号資源政策で何を担うのか

ASOは番号資源コミュニティとICANNをどうつなぐのか。五つのRIR、15人のアドレス評議会、グローバル政策の手続き、運用者の参加経路を整理します。

Ann Yong初回公開 更新
このページの内容
ネットワーク基盤、ASOアドレス評議会、ICANN理事会、グローバル政策の流れを結ぶ概念図

ASOは、ネットワーク事業者と世界のアドレス政策をどう結ぶか。正確な役割は、本文と公式資料で確かめられます。

インターネットは、一つの組織が運営するネットワークではありません。独立したネットワークが相互に接続できるのは、公開IPアドレスやAS番号などの識別子に世界規模の一意性があるからです。その管理には、ICANN、IANA、NRO、五つの地域インターネットレジストリが、それぞれ異なる立場で関わっています。

ASOは、この番号資源のコミュニティとICANNを制度上つなぐ役割を担います。ネットワーク運用者にとって大切なのは、略称を覚えることだけではありません。自社に関わるルールがどこで決まり、誰が地域を代表し、どの段階で意見を届けられるのかを把握することです。

ICANNとIANAの違い

ASOとは

ASOはAddress Supporting Organizationの略で、日本語ではアドレス支持組織と呼ばれます。ICANNの定款に位置付けられた三つの支持組織の一つであり、IPアドレス政策について勧告を検討し、番号資源の運用・割り当て・管理に関する助言をICANN理事会に提供します。

ほかの二つはccNSOとGNSOです。ccNSOは国や地域に対応するトップレベルドメイン、GNSOは汎用トップレベルドメインの政策を主に扱います。ASOが扱うのは、ドメイン名ではなくインターネットの番号資源です。

ASOの公式紹介

インターネットのガバナンス機関

NROとの関係

NROは、五つのRIRが連携するための組織です。ICANNとのASO覚書に基づき、NROがASOの役割・責任・機能を担います。ただし、NROにはICANNとの関係以外の活動もあるため、二つの名称があらゆる場面で同じ組織機能を指すわけではありません。

NRO執行評議会はASOに関わる組織上の機能を担い、NRO番号評議会はASOアドレス評議会として活動します。公式文書で「NRO NC/ASO AC」という併記が使われるのは、このためです。

NROの公開文書

NROの役割

五つのRIRが地域の基盤を担う

AFRINICはアフリカ、APNICはアジア太平洋、ARINは米国・カナダとカリブ海および北大西洋の一部地域、LACNICは中南米とカリブ海の大部分、RIPE NCCは欧州・中東・中央アジアの一部を担当します。

各RIRは、サービス地域のIPv4アドレス、IPv6アドレス、AS番号と関連する登録情報を管理し、地域の政策策定プロセスを運営します。具体的な申請先や管理階層については、地域の登録制度とIANAの番号資源資料を確認する必要があります。

地域インターネットレジストリの役割

IANAの番号資源

ASOアドレス評議会とは

ASOアドレス評議会(ASO AC)は15人のボランティアで構成され、NRO番号評議会と同じメンバーからなります。各RIR地域に三つの席があり、二人を地域コミュニティが選び、一人をそのRIRの理事会が任命します。

ASOとASO ACは区別しなければなりません。ASOはICANNと番号資源コミュニティをつなぐ支持組織全体の仕組みです。ASO ACは、その中で政策手続きの確認、助言、任命などを担う具体的な機関です。

ASOアドレス評議会

評議会の主な役割

グローバル政策の手続きを確認する

ASO ACは提案を追跡し、五つの地域で必要な手続きが守られたか、共通の政策文が必要な支持を得たかを確認します。一方的に政策を作り、各地域に押し付ける機関ではありません。

ICANN理事会に助言する

RIRと連携して番号資源の割り当て政策について助言します。理事会は、アドレス管理、ネットワーク運用、地域の政策策定に携わる人々の経験を判断に生かせます。

新たなRIRの承認について勧告する

適用される要件と政策に基づき、新たなRIRの承認に関する勧告を行います。地域の登録・割り当てという重要なサービスを担う組織に関わる責任です。

ICANN理事を選任する

ASO ACはICANN理事会の第9席と第10席を選任します。番号資源コミュニティは、この経路を通じてICANNの最高意思決定機関の人選に関わります。

地域の政策は地域のプロセスで決まる

地域のIPアドレス政策は、各RIRの手続きを通じて提案され、議論されます。参加者にはISP、ネットワーク運用者、クラウド・ホスティング事業者、政府、技術者、研究者、市民社会などが含まれます。具体的な参加方法は地域ごとの規則に従います。

ASOが地域の政策策定をすべて代行するわけではありません。世界共通の実施が必要な番号資源政策に該当する場合に、ASOのグローバル政策に関する役割が重要になります。

「グローバル政策」の範囲

ここでいうグローバル政策には、定義があります。各RIRがそれぞれの政策手続きを通じて合意し、ICANNも同意したうえで、実施にIANAまたはICANNに関係する外部機関の対応が必要になる番号資源政策です。グローバルな資源プールからRIRへの配分はその一例であり、世界中のIPアドレス関連ルールすべてを指すわけではありません。

その後、RIRが地域内で資源を配分・割り当てる際には、それぞれの地域の政策が適用されます。一つの地域だけに適用される提案と、五つの地域すべてで検討が必要な提案は、分けて考える必要があります。

IANA機能を担うPublic Technical Identifiers(PTI)は、グローバル政策に従ってRIRへ資源を配分します。

IPアドレスブロックの世界規模の配分

グローバル政策が成立するまで

グローバル政策策定プロセス

1. グローバルな課題を提案する

RIRの政策フォーラムに提案するほか、ASO ACへ直接提出することもできます。一つの地域だけの変更ではなく、グローバル政策の対象となる事項である必要があります。

2. 五つの地域で検討する

各地域は、それぞれの政策策定手続きに従って審議します。AFRINIC、APNIC、ARIN、LACNIC、RIPE NCCがサービスを提供する地域のコミュニティが参加します。

3. 共通の文面にまとめる

議論の途中で文言や要件が異なる場合もあります。調整を経て、五つの地域すべてで所定の手続きにより承認される共通の文面にする必要があります。

4. 評議会が手続きを審査する

ASO ACは、必要なプロセスが守られ、重要な意見が十分に扱われたかを確認します。評議会の政策上の好みで地域の判断を置き換えるための審査ではありません。

5. ICANN理事会へ送る

審査後、提案をICANN理事会へ送ることができます。送付だけで自動的に承認されるわけではなく、合意文書が定める審議、協議、批准の手続きが適用されます。地域から積み上げた政策を世界規模の実施につなげる流れです。

ASOに申請すればIPアドレスを取得できるのか

ASOは、企業や個人の通常のIPアドレス申請を受け付ける窓口ではありません。IPv4・IPv6やAS番号の日常的な発行、すべての地域登録簿の管理、トラフィックの経路制御、ドメイン登録を担当する機関でもありません。インターネット全体を規制する行政機関ではない点も重要です。

番号資源を必要とする組織は、地域の制度に応じてRIR、国別インターネットレジストリ、ローカルインターネットレジストリ、サービス事業者などに確認します。AS番号の取得を考える場合も、まず自社ネットワークの要件と地域の申請条件を確認する必要があります。

AS番号の取得方法

地域参加と世界規模の調整を両立させる

インターネットは世界につながっていますが、番号資源の管理は五つの地域に分かれています。グローバルな資源プールの政策には整合性が必要です。一方、権限を一つの機関に集中させれば、地域の参加やボトムアップの意思決定が弱くなるおそれがあります。

ASOは、その間をつなぐ制度です。地域コミュニティの意見をグローバルな提案に反映し、ICANNが番号資源コミュニティの助言を受け、実施前に手続きを確認できるようにします。この仕組みの正当性は、参加が実質的なものであり、代表者が説明責任を果たすことにかかっています。

番号資源を使う事業者との関係

ISP、データセンター、クラウド、CDN、ホスティング、通信事業者、金融機関、自社ネットワークを持つ企業は、番号資源の政策変更に影響を受ける可能性があります。取得資格、移転、登録要件、事業継続、管理手続きなどが関係します。

これらをすべてASOが決めるわけではありません。まず問題が地域政策なのかグローバル政策なのかを見極め、議論の場を確認することが出発点になります。地域の代表者が誰で、どのような立場を取り、どう説明責任を果たしているかを知ることも大切です。

NRSは、番号資源に依存する組織に対して、ガバナンスが透明で、説明責任を持ち、現実の運用課題に応えるものであるべきだと考えています。

IPアドレスを保有する意義

参加の入口

地域の公開政策メーリングリスト、審議中の提案、現地・オンライン会議を確認するところから始められます。意見や実務上の証拠を示し、地域の手続きに従って新たな政策を提案することもできます。

ASO ACメンバーの選出過程を確認する、公開会議を傍聴する、議題・議事録・作業計画を読むといった関わり方もあります。参加を政府、大企業、有料会員だけのものと決めつけず、それぞれの制度で条件を確認することが必要です。

四つの名称を整理する

ASO

ICANNと番号資源コミュニティをつなぐ制度上の経路であり、グローバル政策について助言します。

NRO

五つのRIRの連携を担い、ICANNの枠組みでASOの役割を果たします。それ以外の活動もあります。

RIR

各地域の番号資源を管理し、地域の政策策定プロセスを運営します。

IANA

グローバルなIPアドレスとAS番号の資源プールを調整し、世界共通の政策に従ってRIRへ配分する機能です。Public Technical Identifiers(PTI)が担っています。

信頼を支える参加と説明責任

ASOは、地域のコミュニティで進む政策策定とICANNの世界規模の調整をつなぎます。RIRに代わって資源を管理したり、企業の通常の申請を処理したりする機関ではありません。NRO、五つのRIR、ASO ACが役割を分担し、透明で整合性のあるグローバル政策の形成を支えます。

インターネットの安定には技術的な調整だけでなく、信頼できる地域機関、説明責任を果たす代表者、実質的な参加の機会が必要です。番号資源に依存する企業や運用者、コミュニティに応える制度でなければなりません。

よくある質問

ASOは何の略ですか。

Address Supporting Organizationです。日本語ではアドレス支持組織と呼ばれます。

ASOはICANNの仕組みの一部ですか。

はい。ICANNの定款に認められた支持組織の一つで、覚書に基づいてNROがその役割を担います。

アドレス評議会は何人ですか。

15人です。各RIR地域から三人で、二人を地域コミュニティが選び、一人をRIR理事会が任命します。

ASOから直接IPアドレスを取得できますか。

通常の資源申請窓口ではありません。所在地に適用されるRIRなどの登録経路を確認します。

地域のIPアドレス政策もASOが作りますか。

地域政策は各RIRのプロセスで形成されます。ASO ACは主にグローバル政策に関する手続きの監督と助言を担当します。

出典

2026 年 7 月 24 日に公開し、10 月 7 日に更新した記事です。グローバル政策の定義は 2019 年の ASO 覚書に基づきます。グローバルな資源プールからの配分は、その一例です。

2019年のICANN・NRO間ASO覚書

政策議論への参加経路を見つける

まず地域の政策フォーラムで提案を読み、実務の経験や根拠を示し、代表者の選び方を確認してください。NRS Shield で支援内容を確認できます。NRS に代わりに動いてほしいときは、POAと代表権限 が、あなたが定める範囲・条件・撤回方法のもとでその権限を NRS に与えます。

参加する

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