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2026 年の IPv4 需要を待機リストから読む
RIPE NCC と ARIN の過去の数字から、申請資格、回収資源、供給時期と長期の資源計画を考える。
このページの内容
対象は RIPE NCC の 2026 年 3~8 月会員向け報告と、ARIN の 7 月までの配分です。現在の待機列や提供時期の予測ではありません。

英語の原表紙を保存。限られた供給に対して、回収・移転・IPv6 とライフサイクル全体の計画を組み合わせるという図です。
IPv4 の在庫が枯渇しても、需要はなくならない
主要な地域インターネットレジストリ(RIR)の通常の未割り当てプールが枯渇してから何年もたちます。それでも、2026 年の待機リストには、限られた IPv4 アドレスを求める申請が残っています。
RIPE NCC の 2026 年 8 月会員向け報告では、757 のローカルインターネットレジストリ(LIR)が待機し、先頭の LIR はすでに 467 日待っていました。同年春には 841 LIR に達し、先頭の待機期間は 500 日を超えていました。ARIN が処理した申請は 1 月 149 件、4 月 67 件、7 月 307 件で、7 月までの合計は 523 件です。
これは市場全体の需要を表す数字ではありません。申請資格のない組織もあり、すべての RIR が待機リストを設けているわけでもありません。移転やサービス事業者などを通じて調達するネットワークもあります。枯渇によって需要が消えたのではなく、有限の資源を割り当て、回収し、再び配分する方法が変わったのです。
待機リストは何を数えているのか
適用されるポリシーの要件を満たしていても、レジストリがすぐにアドレスを提供できなければ、申請は待機列に入ります。割り当て可能な資源が戻ると、そのレジストリのルールに従って配分されます。
つまり、待機リストが捉えるのは、特定の制度で申請資格を満たした需要です。世界全体の IPv4 需要ではありません。ネットワークには、移転、プロバイダーからの割り当て、リースなどの契約、手元の在庫、社内資源の回収、キャリアグレード NAT、クラウド事業者のアドレス、IPv6 の導入といった選択肢もあります。
757 LIR という数字は、その時点の RIPE NCC の列に並んでいた数です。IPv4 を必要としている組織が世界に 757 しかないという意味ではありません。APNIC・ARIN・RIPE NCC の役割の違いも参照してください。
枯渇後の仕組みは地域ごとに違う
全 RIR に共通する一つの IPv4 待機リストはありません。地域ごとのポリシーによって、資格条件も配分の仕組みも異なります。数字を読むには、まずその制度を理解する必要があります。
RIPE NCC:対象 LIR への限定的な割り当て
RIPE NCC は回収した IPv4 資源を待機リストで配分します。資格を満たす LIR が受け取れるのは一度の /24、256 アドレスです。対象が限定されており、豊富な未割り当てプールから大きなブロックを配分していた時代の代わりにはなりません。
ARIN:独自の条件で待機申請を処理する
ARIN にも待機リストがありますが、資格条件と配分モデルは RIPE NCC と異なります。返却や取り消しなどによって在庫に戻った IPv4 を、条件を満たす申請への割り当てに使います。
APNIC:待機リストを使わない管理
APNIC は 2019 年、未充足の IPv4 申請の待機リストを廃止しました。枯渇後の仕組みの下で限定的な配分は続けており、それ以上のアドレスが必要な組織は移転などを検討することになります。
異なる RIR の生の数字を、同じ対象を測ったものとして比較してはいけません。各地域の政策が、統計に含まれる申請と供給の仕方を決めています。
RIPE NCC:2026 年の待機列の推移
表は会員向け報告の月を示したもので、現在のリアルタイムの待機列ではありません。春には 841 LIR まで増え、その後 713 に減り、再び 750 を超えました。列は大きいままでしたが、一方向にだけ動いていたわけではありません。
先頭の LIR の待機期間は一貫して数百日単位でした。限られた回収資源が、継続して存在する有資格の申請に配分されている状況が読み取れます。
| 会員向け報告(2026 年) | 待機 LIR 数 | 先頭がすでに待った日数 |
|---|---|---|
3 月 | 794 | 477 |
4 月 | 841 | 503 |
5 月 | 841 | 536 |
6 月 | 713 | 441 |
7 月 | 753 | 454 |
8 月 | 757 | 467 |
467 日は、これからの待ち時間ではない
2026 年 8 月報告の 467 日は、その時点で先頭の LIR がすでに待っていた日数です。全申請の平均でも、新規申請者への見積もりでも、受領までの保証でもありません。
資源が戻る量と時期、列の位置、適用ルールによって実際の配分は変わります。この観測値だけを根拠に、顧客へアドレスの提供日を約束することはできません。
なぜ一度の /24 に限られるのか
/24 に含まれる IPv4 アドレスは 256 個です。小規模な開始用の容量にはなっても、多くの大規模ネットワークの必要量には届きません。この制度は、枯渇前の大量割り当てを再現するためのものではありません。
/16、/18、あるいは /20 が必要な企業にとって、/24 は同等の供給源ではありません。より大きな需要には別の方法が必要です。これが移転の重要性につながります。2026 年の IPv4 移転統計で、その規模を確認できます。
ARIN:2026 年に何件の申請が満たされたか
ARIN は利用可能な資源を定期的に対象申請へ配分します。表の単位は満たされた申請の件数です。アドレス数や、配分用に解放されたブロック数ではありません。
4 月の 67 件から 7 月の 307 件への増加は、需要が 3 か月で 4 倍以上になったことを意味しません。処理できる件数は、その期間にどれだけ適切な資源が ARIN の在庫に戻るかに大きく左右されます。
| 配分時期 | 満たされた申請数 |
|---|---|
2026 年 1 月 | 149 |
2026 年 4 月 | 67 |
2026 年 7 月 | 307 |
7 月までの合計 | 523 |
配分する IPv4 はどこから来るのか
待機リストによる配分は、従来の未割り当てプールが復活したということではありません。自主的な返却、取り消し、資源の回収などによって、既存のアドレスが再び利用可能な在庫に入ります。
レジストリが新しい IPv4 アドレスを作っているのではありません。有限の空間にすでに存在する資源を再配分しています。管理の対象は、初回の割り当てだけでなく、資源のライフサイクル全体へ広がっています。
待機列と移転統計が答える問いは違う
どちらも有用ですが、互いの代わりにはなりません。枯渇後の資源配分の、異なる面を見るための補完的なデータです。
待機リスト:条件を満たしながら待っている申請
レジストリがすぐには提供できない限定的な IPv4 を、資格のある組織がいくつ求めているかを示します。
移転統計:すでに発行された資源の移動
割り当て済みの IPv4 アドレス空間が、組織間でどれだけ移動しているかを見るためのものです。
活発な移転と、RIPE NCC の数百の待機 LIR、ARIN の回収在庫による定期配分は共存します。それぞれ、異なる状況の需要に対応しているからです。
待機リストだけで希少性を証明できるか
供給が制約されている状況とは整合しますが、市場全体の状態を単独で証明するものではありません。IPv4 は有限の 32 ビット空間です。かつての大きな未割り当てプールは、RIR の仕組みの中ですでに枯渇したか、厳しく制限されています。
待機統計から分かるのは、そうした制度の下でも有資格の組織が限られた資源を申請していることです。移転、最終プールの制限、回収資源、社内のアドレス整理、商取引、実稼働ネットワークでの IPv4 利用も併せて見る必要があります。
IPv4 は依然として役に立つ一方、新規供給は無制限ではありません。ただし、空間が有限であることだけでは、あらゆる時点の超過需要や必然的な価格上昇までは言えません。
列に現れない需要もある
申請資格がない、必要量が多すぎる、待つ時間がないという理由で、列に入らない組織もあります。移転、接続事業者、リース、内部回収、IPv6、アドレス共有技術で対応する場合もあります。
待機列は需要の一つの指標であり、完全な測定ではありません。移転統計にも同じ注意が必要です。一つのデータだけで IPv4 全体を説明することはできません。
APNIC の例:列がないことと需要がないことは別
2019 年の待機リスト廃止後も、アジア太平洋地域の IPv4 需要はなくなっていません。APNIC は残存資源の限定配分を続け、それを超える需要には移転や別のネットワーク戦略が必要になります。
待機列がないのは、枯渇後の管理に別の政策手段を選んでいるためかもしれません。需要ゼロとは結び付けられません。
回収されたアドレスには利用履歴がある
返却・取り消しを経たアドレスは、未使用の新品ではありません。前の利用者の履歴が、新しい運用に影響することがあります。
IP レピュテーション、ブロックリスト、位置情報データベース、逆引き DNS、経路の履歴、過去の BGP 起源を確認する必要があります。古い評価が現在にも当てはまるとは限りませんが、問題が自然に解消されたとも限りません。レジストリの資格を満たすことは、運用準備の一部分です。
登録上の状態と、運用上の状態を分ける
待機リストから /24 を受け取り、登録情報が新しい資源関係を正しく示していても、すべての運用層が準備できているとは限りません。
BGP、起源 ASN、RPKI ROA、IRR の経路オブジェクト、逆引き DNS、ファイアウォール、監視、顧客システムなどの設定と確認が必要です。登録と展開は関連していますが、別の作業です。
登録情報の正確さは重要でも、実際の運用確認の代わりにはなりません。IP アドレスレジストリの仕組みで詳しく説明しています。
資源のライフサイクル全体で考える
かつてはアドレスを取得することに重点を置けました。今は有限の資源を長期間管理し、その入口から出口までを見通す必要があります。次の六つの段階をつなげて考えます。
取得する
その資源はどのような経路で組織に入ったのか。割り当てや移転など、取得の背景をたどれるようにします。
登録する
外部の登録情報は、現在の資源関係を正確に表しているかを確認します。
展開する
そのプレフィックスをどう経路広告し、保護するのか。取得後にもネットワークとセキュリティの準備が必要です。
監視する
BGP、RPKI、IRR、DNS の整合性は保たれているか。初期設定が正しくても、その後の変更を追う必要があります。
管理権限を取り戻せるようにする
主要担当者が退職した場合、誰が管理アクセスを回復できるのか。資源の継続管理を一人に依存させないための問いです。
移転・利用終了を決める
組織がその資源を必要としなくなったらどうするのか。待機統計も、未使用アドレスの初回配分ではなく、有限資源を長く管理するという大きな流れの中で理解できます。
未充足の需要について分かる五つのこと
2026 年の数字からは、資格条件と供給の仕組みを踏まえた次の観察ができます。列の長さだけで市場全体を推測するものではありません。
1.資格を満たす申請は続いている
RIPE NCC では数百の LIR が待ち、ARIN も数百件の申請を満たしていました。未割り当てプールの枯渇後も、この需要は存在します。
2.戻ってくる資源が重要になる
申請を満たせるかどうかは、返却や回収などで IPv4 が再び使えるようになることに、ますます依存します。資源を循環させる仕組みが重要です。
3.列の規模だけでは需要を測れない
資格条件が統計の対象を限定しています。その枠外にある需要は、待機列からは見えないことがあります。
4.待機期間も供給の状況を示す
2026 年 8 月の報告では、先頭の LIR はすでに 467 日待っていました。列の長さだけでなく、供給の時期も重要です。これは平均値でも、新規申請者の予測でもありません。
5.地域のモデルは同じではない
ARIN、RIPE NCC、APNIC は、限られた IPv4 に対する異なる対応を示しています。世界を一つの待機モデルで表すことはできません。
待機列から価格を予測できない理由
「待ち時間が長いほど IPv4 が高くなる」という式は単純すぎます。待機列は政策上の申請を示しますが、価格には移転可能な在庫、ブロックの大きさ、取引構造、RIR の地域も影響します。
さらに、アドレスの評価、買い手の緊急性、売り手の期待、経済状況、経路履歴なども関係します。長い列を特定の価格へ換算することはできず、列の縮小が商業需要の減少を意味するとも限りません。
待機統計は資源配分のデータであり、IPv4 の価格指数ではありません。
IPv6 を進めても、既存の IPv4 依存はすぐには消えない
IPv6 は IPv4 アドレス空間の制約に対する長期的な解決策です。ただし、既存の依存関係が一度に消えるわけではありません。
顧客接続、旧来のアプリケーション、API、セキュリティ許可リスト、ホスティング、メール、クラウド基盤、IPv6 対応が不十分な機器や取引先には、IPv4 が残る場合があります。積極的に IPv6 を導入する企業でも、一定量の IPv4 が必要なことはあります。
待機リストだけに頼らないために
列に並ぶことは選択肢の一つです。しかし、アドレス戦略のすべてにしてはいけません。まず実際の必要量を把握し、次の作業を組み合わせます。
既存の IPv4 を監査する
追加取得の前に、現在の空間が効率よく割り当てられているか、記録されているか、実際に使われているかを確認します。不要な断片化や、廃止した設備から回収できるアドレスも調べます。
RIR の資格条件を理解する
地域によって条件は異なります。自組織の資源と運用に、どの仕組みが実際に適用されるのかを確かめます。
必要に応じて移転を計画する
待機リストで合理的に賄える量や時期を超える場合、移転などを検討します。列に入ったことだけでは、導入スケジュールを保証できません。
IPv6 を導入する
IPv6 は有限の IPv4 への長期的な依存を減らします。目先の調達と並行して進める必要があります。
運用上の依存を記録する
顧客の許可リスト、VPN、クラウド、DNS、API、セキュリティシステム、取引先との連携で IPv4 がどこに使われているかを把握します。企業のインターネット番号資源を監査する方法も役立ちます。
アドレス調達を、基盤の計画へつなげる
「追加のブロックをどう手に入れるか」だけでは不十分です。必要量と期間、IPv4 が不可欠なアプリケーション、既存資源の回収余地、IPv6 による将来需要の削減を考えます。
さらに、RIR に適切な仕組みがあるか、移転が必要か、資源関係を記録できるか、どう経路広告して守るか、5 年後に誰が管理するかを確認します。これが、一度の取得を長期のインフラ計画に変えます。
再利用される資源ほど、正確な記録が欠かせない
一つのブロックが、長い期間に複数の組織の環境を通ることがあります。返却・回収・移転が進むほど、最新の登録情報、明確な履歴、有効な連絡先、記録された経路広告の権限、更新された RPKI、正確な内部台帳が重要になります。
古い組織の情報が、現在の運用から切り離されて残ることを防ぐためです。登録情報はネットワークのすべてを表すものではありませんが、独立した運用者間で信頼できる調整情報を共有し、継続性を支えます。
2026 年の数字が本当に示していること
単に「IPv4 がなくなりつつある」と結論づけるのは適切ではありません。通常の未割り当てプールの枯渇は、すでに何年も前に起きました。現在は、有限の資源への需要を継続して管理している段階です。
最終プールの限定配分、待機リスト、回収、移転、プロバイダーのアドレス、内部資源の再利用、IPv6 などを組み合わせています。可用性は初回割り当てだけでなく、利用・返却・回収・移転・再展開の全過程にかかっています。
取得した後まで見通して管理する
RIPE NCC の 2026 年 8 月報告は、757 LIR の待機と先頭の 467 日を記録しました。ARIN は 1・4・7 月に合計 523 件を満たしました。需要は残っていますが、数字はそれぞれの政策下のもので、世界の需要総量ではありません。
待機リストのない APNIC も配分を制限し、ほかの取得手段を提供しています。枯渇後の管理は、配給、回収、再配分、長期計画の組み合わせになりました。
運用者は、保有資源と利用効率、適用ルール、取得の選択肢、登録記録、経路と RPKI の整合性を把握し、IPv4 依存をどこで維持し、どこで減らすかを考える必要があります。関連資料:ICANN と IANA の違い。
数字に関するよくある質問
待機中の LIR はいくつでしたか?
2026 年 8 月の RIPE NCC 報告では 757 です。過去の観測値であり、現在の待機列ではありません。
467 日は何を測った値ですか?
8 月の報告時に先頭の LIR がすでに待っていた日数です。平均、予測、保証ではありません。
資格を満たす LIR はどれだけ受け取れますか?
適用される待機制度の下で、一度の /24、256 個の IPv4 アドレスを受け取れます。
ARIN は何件の申請を満たしましたか?
2026 年 1 月 149 件、4 月 67 件、7 月 307 件、計 523 件です。7 月までの合計で、年間総数ではありません。
ARIN の配分資源はどこから来ますか?
返却、取り消しなどによって利用可能な在庫へ戻った資源が、待機申請への配分に使われます。
出典と読み方
出典の確認日:2026 年 10 月 13 日。RIPE NCC の数値は各月の会員向け報告に記載された観測値で、月平均ではありません。日数は先頭の LIR がすでに待った期間です。ARIN は満たされた申請件数を数え、149 + 67 + 307 = 523 となります。申請、解放されたブロック、個別アドレスは別の単位です。元の観測期間を保ち、後日の数字へ無断で置き換えていません。
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