Number Resource Society
RIPE NCCとは——アドレスの登録とルールの決定を分けて考える
RIPEコミュニティとRIPE NCCの違いから、資源の登録、会員の議決、ポリシー形成まで。ネットワーク事業者が関わるべき意思決定の場を整理します。
このページの内容
2025 年 4 月 16 日公開、2026 年 8 月 21 日更新。
RIPEとRIPE NCCの違い
RIPE NCCは、欧州、中東、中央アジアの一部を担当する地域インターネットレジストリ(RIR)です。本部はオランダのアムステルダムにあり、ドバイにも拠点があります。一方、RIPEは誰でも参加できるコミュニティです。両者はまとめてRIPEと呼ばれることがありますが、役割は異なります。
NRSのRIR解説もあわせてお読みください。
IPv4、IPv6アドレスとAS番号(ASN)の分配・登録を担うのがRIPE NCCです。資源に関するポリシーはRIPEコミュニティが定め、登録機関が実施します。
RIPE NCCは会員が支える非営利の協会として、技術面と運営面の調整を行います。
会員にはISP、通信事業者、教育機関、行政機関など、さまざまな組織が含まれます。RIPE NCCへの入会には所定の条件がありますが、RIPEの議論に参加するために同じ会員資格を得る必要はありません。
設立までの経緯
RIPE NCCは1992年4月、アムステルダムで業務を開始しました。最初の活動計画は1991年5月に公表され、初期にはRARE、EARN、EUnetの支援を受けました。定款は1997年11月12日にオランダで登記され、協会としての運営は1998年から始まっています。
2019年11月25日、RIPE NCCは通常のIPv4在庫から最後の/22を割り振ったと発表しました。その後は、閉鎖したネットワークや自主的に返却されたアドレスが待機リストの供給源となり、配分の時期は保証されません。現在の待機リストでは、RIPE NCCからIPv4の割り振りを受けたことがない適格なLIRアカウントに、1回限りの/24(256アドレス)を配分します。IPv6の導入も引き続き重要です。
RIPE NCCの業務
RIPE NCCは担当地域の内外で、インターネット基盤の技術的な調整を支えています。業務内容を見ると、事業者が登録機関に依存する接点も分かります。
IPアドレスやAS番号など、インターネット番号資源の分配と登録。
公開アドレスの重複を避けることは、通信先の混同を防ぐ基本です。分配はIANAからRIR、主にISPが運営するLIR、そして利用者へと流れます。ただし登録の整合性だけで、誤った経路広告や経路ハイジャックまで防げるわけではありません。
IPv4が不足するなか、明確な基準と追跡可能な配分が重要になります。最後の/8の時期には割当量の制限がありました。現在は、待機リスト、移転、IPv6それぞれの条件を確認する必要があります。
資源の登録情報や連絡先を収めるRIPE Databaseの開発、運用、保守。
ルーティングポリシーなどを記録するRIPE Routing Registryの維持。
DNSルートサーバーシステムの一つであるK-rootの運用。単独の物理サーバーではなく、複数の拠点に展開されるサービスです。
RIPE NCCはENUMの委任調整も支援してきました。
RIPE Atlasによる計測や、RIPEstatによるアドレス、ASN、ホスト名、国別情報の提供。
会員・理事会・職員の役割
RIPE NCCの運営には、主に次の三者が関わります(開かれたRIPEコミュニティには、独自の運営のしかたがあります)。
会員
会員は候補者の推薦、選挙、料金体系や決算に関する議決、サービスへの意見提出などを通じて運営に関与します。各権利の範囲は定款に定められています。
執行理事会
総会が推薦された候補者から理事を選びます。定款上の人数は3~7人で、経営陣の任命や財務の監督などを担います。
職員
職員はRIPE NCCの業務を実施し、会員へのサービスとRIPEの事務支援を提供します。ポリシーを決めるのはコミュニティです。
データベースから分かること
番号資源の登録情報
RIPE Databaseには、アドレスやASNの登録情報と連絡先が公開されています。登録関係と各国法上の所有権は別の問題です。記録を管理する組織には、情報を更新する責任があります。
ルーティングレジストリ
RIPE Routing RegistryはRIPE Databaseの一部で、RPSLによる経路情報を扱い、IRRの仕組みに参加しています。登録された方針、実際のBGP広告、他のデータベースの記録が常に一致するとは限りません。
料金
RIPE NCCの料金体系は、毎年の総会で承認されます。
2026年の料金体系は、年額1,800ユーロ/アカウント、独立資源1件75ユーロ、ASN1件50ユーロ、登録料1,000ユーロです。適用条件は同資料を確認してください。
2023年の料金体系
2023年にはLIRアカウントごとの年会費が150ユーロ引き上げられました。背景には、経済の不確実性、インフレ、会費を納める会員数が減る可能性がありました。
2023年には、独立した番号資源の割り当てに1件50ユーロの料金がありました(IPv4・IPv6のPI、Anycast、IXP、スポンサーLIR経由の歴史的なIPv4資源など)。ASNは対象外でしたが、2026年の料金体系ではASN1件につき50ユーロです。
課金の単位
LIRアカウントごとです。総会での議決権は会員ごとに数えます。
2023年の年会費
1アカウントあたり1,550ユーロに、対象となる独立資源の割り当て1件あたり50ユーロを加算。
2023年の登録料
1,000ユーロ。
2023年の請求時期
独立資源に関する請求には2022年12月31日時点の情報を使い、2023年第1四半期に請求書を送付する仕組みでした。
関連リンク
5つの地域インターネットレジストリは、NROによって調整されています。
決定の場に合わせて参加する
- 資源ポリシーはRIPEのワーキンググループやメーリングリストで、根拠を示して合意を形成します。会員の票数で可否を決める手続きではありません。
- 協会の運営については、会員資格、総会への登録、議決権、代理の要件を確認してから選挙や料金の議決に参加します。同じ会員がLIRアカウントを増やしても、その分だけ票が増えるわけではありません。
- 2026年9月29日から、既存会員によるLIRアカウントの追加取得が申請中の案件も含めて一時的に制限されています。既存アカウントの閉鎖を求める措置ではなく、IPv4ポリシー自体の改定でもありません。
- NRSは、登録情報に事業を依存する運営者に実質的な発言力が必要だと考えます。異議を示し、支持を集め、決定後の影響を追えることが、開かれた手続きを機能させます。
公式資料
RIPEとRIPE NCCの関係、協会定款、ポリシー策定手続きで権限の違いを、IPv4待機リスト、2026年の料金、第195回理事会議事録で現行の条件を確認できます。
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