Number Resource Society
今の RIR の仕組みは、本当に唯一の選択肢なのか
インターネットの番号資源には調整が欠かせません。しかし、その役割を五つの機関に集中させる制度は変えられないのでしょうか。現行制度の必要性と改革の可能性を考えます。
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原文の挿絵。出典には説明文や作者名が記されていません。
調整は必要でも、制度が不変とは限らない
ネットワーク運用には、信頼できるアドレスの登録と割り振りが必要です。その事実と、現在の権限配分をそのまま維持すべきかどうかは、別の問題です。世界中のネットワークが依存する資源を、誰が、どのように管理するのかが本稿の問いです。
分散化で目指すのは、利用者がルールづくりに参加でき、管理機関に説明と責任を求められる仕組みです。ブロックチェーンは検討に値する技術の一つですが、制度改革の可能性はそれだけに限られません。
当たり前になっている仕組みを問い直す
インターネット基盤に関わる人や企業にとって、地域インターネットレジストリ(RIR)は、遠い存在でありながら強い権限を持つ機関に見えることがあります。ネットワークに欠かせない資源、とりわけ IP アドレスを管理しているからです。
ただ、世界規模で使われる資源を五つの機関が管理するという仕組みが、長期にわたって適切なのかを立ち止まって考える機会は多くありません。
そこで、あえて問いかけます。私たちに RIR は本当に必要なのでしょうか。
現時点では必要です。ネットワークはこの仕組みに依存しており、まずは改善に取り組む必要があります。しかし、もっと効率的で透明性が高く、目的にかなう別の調整方法があり得ないとは限りません。
現在の制度は歴史の中で生まれた
初期の番号資源の調整は米国に集中していました。インターネットが世界へ広がるにつれ、地域ごとの登録機関が設立され、その役割を分担するようになりました。現在の制度は段階的に築かれたものであり、ネットワークの必要に応じて今後も変えていけるはずです。
現在、五つの RIR がそれぞれのサービス地域を担当しています。いずれも非営利の組織で、IP アドレスや自律システム番号(ASN)の割り振りと登録などを担います。
ブロックチェーンによる別の仕組みという提案
2018年の研究は、ブロックチェーンを使った分散型の IP アドレス管理を提案しました。手続きの硬直性、非効率、国境を越えて及ぶ法域の影響などに向き合う試みです。公平性と透明性は目指すべき成果であり、技術を採用しただけで実現が保証されるわけではありません。
この構想を理解するために、現在の割り振り方と比較してみましょう。
現在の割り振りにある構造上の課題
世界全体を一つのパズルと考えると、アドレスはネットワークを識別し、通信を届けるための手掛かりになります。登録機関は割り振りを調整し、重複や衝突を避け、登録情報を維持します。
問題は権限の集中にあります。特定の法域に属する少数の組織が、多くの国の利用者に影響する規則を適用しています。組織が従う法律の範囲と、その判断が及ぶ範囲は一致しません。
世界でつながる必要のあるネットワークが、規則や考え方の必ずしも一致しない複数の機関に依存している。この間の調整は、自然に成立するものではありません。
必要な役割を果たしていることだけでは、透明性、効率、変化への対応速度の問題は解決しません。少数の機関に信頼を集中させず、もっと開かれた方法で登録と割り振りを行えないでしょうか。
分散型の登録は何を変えようとしているのか
InBlock は、スマートコントラクトでアドレスの申請と料金を扱い、割り振りの結果を共有台帳に記録する仕組みを提案しています。規則の実行と記録の保管を複数のノードに分散させる考え方です。一方、利用者一人ひとりに発言権を持たせるには、別途ガバナンスの設計が必要です。スマートコントラクトは全員投票を意味しません。
目指すのは、現在の登録機関に集中している機能を、開かれた分散型の基盤が担えるようにすることです。登録、経路制御の調整、紛争解決という仕事は残ります。それを誰が、どんな規則に基づいて担うかは、問い直すことができます。
一つの組織だけに依存せず、各地のコンピューターで規則を実行し、記録を共有する点に可能性を見ています。ただ、ノードが分散していても、誰が規則を決めるのか、誰が実質的に管理するのか、どの法が適用されるのかという問題は残ります。
提案はまだ実験段階です。研究は番号資源の限られた範囲で試し、経験を蓄積したうえで、より広い適用の妥当性を判断するよう求めています。
新しい制度を待たずに参加できる
資源の割り振りやポリシーの策定は、すべての利用者に関わります。NRSは、自由で参加しやすいインターネットにつながる政策を支持します。
番号資源をブロックチェーンで管理する未来は、まだ遠いかもしれません。それが最善の方法だという保証もありません。
それでも、より公平で利用者の声が届くインターネットづくりには今から関われます。NRS への参加は、そのための一つの入口です。
出典
NRS が2025年4月17日に公開し、2025年11月4日に更新。本版の改訂日は2026年10月23日です。InBlock 論文はスマートコントラクトと料金の仕組みを示し、限定的な実験を提案していますが、現行の RIR 制度を置き換えられると実証したものではありません。IANA と NRO の資料では、現在の番号資源の調整と五つの RIR の役割を確認できます。
自分のネットワークから考える
事業が依存するアドレス、登録関係、権限を確認してください。NRS Shieldでは支援を求められ、現在の取り組みではガバナンスの課題を確認できます。NRS に代理を依頼する場合は、委任状(POA)の内容を理解したうえで別途判断する必要があります。入会、支持、支援の相談だけで代理権が生じることはありません。
